中国四川料理のひとつに麻婆豆腐があります。
麻婆豆腐を元に作られた料理には、「麻婆茄子」「麻婆飯」「麻婆春雨」などがありますが、「麻婆」の由来をご存知でしょうか?
●麻婆の名前の由来は?
“麻婆”は「痘痕のばあさん」という意味。
麻婆豆腐は、四川省成都市のある痘痕のばあさんが作ったことから中国一般へ広がったものとされています。
こんなお話があるそうです。
むかしむかし、清の時代。四川省・成都に、ひとりの未亡人がおりました。
亡くなった夫の姓は陳。
そして彼女の顏には小さなあばたがありました。
そんな彼女が作った豆腐料理はシビ辛、なめらか豆腐で大評判でした。
皆はその料理のことを、「陳さんところのあばた(麻)のおばさん(婆)が作った豆腐料理」ということで、
「陳麻婆豆腐」と呼ぶようになったとされています。
ちなみに中国語の「麻(マー)」には、「しびれる」の意味のほかに
「あばた、ザラザラした、くぼみのある」という意味もあるそうです。
この話を聞くと納得しますね。
●麻婆豆腐はいつ日本に来たの?
麻婆豆腐がやってきたのは1952年のことです。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、昔圧倒的な人気料理番組の「料理の鉄人」に
中華料理人の陳建一さんが出ておられました。
その方のお父様であられる陳建民さんが来日して東京にお店を構えたのが麻婆豆腐の始まりとされています。
初めは日本人向けに辛さを控えめにして提供したそうです。
その味はまろやかさもあり辛さも甘みも感じられる味だったそうです。
そのままの味を伝えるのではなく、日本人の舌を考えて作るということはかなり試行錯誤したことでしょう。
ましてや日本人ではない方が作ったということが驚きです。
日本人がどんな味を好むのか、日本人を理解していなければ生まれなかった味といえます。
その努力があり、麻婆豆腐はいまやどの家庭でも当たり前に食べられる料理となったのでした。